1. きのこの栽培

はじめに
 スーパーなどでパックや袋に入って、なにげなく売られているきのこですが、どのようにきのこが栽培されているか知っている人は意外と少ないのではないでしょうか。そこでまず、きのこがどの様に栽培されているかについて紹介してみましょう。


きのこの菌糸は顕微鏡で見ると糸状に見えます
きのこの菌糸
(シイタケ)



 これがきのこの本体ともいうべき菌糸と呼ばれる細胞です。
この菌糸が集まって、きのこが出来る訳です。
まず、きのこの一生を簡単に説明しましょう。


きのこの一生
胞子→発芽→交配→きのこの発生



胞子飛散→基質へ→菌糸の伸長→きのこの発生



主なきのこの栽培方法には、原木栽培菌床栽培があります。



原木栽培


原木栽培とは、クヌギやコナラといった原木(適当な長さの丸太)に、
きのこの菌糸をあらかじめ蔓延させておいた種駒というものを接種し、
培養・栽培を行うものです。


原木栽培の流れ


立田山のほだ場できのこをとっている写真
ほだ場での収穫風景

 十分に菌糸がまわったほだ木は、林内のほだ場とよばれるところに運ばれ、栽培されます。

ほだ木上の立派なシイタケ
シイタケが発生したほだ木

 おもに、秋から春にかけシイタケが発生します。

原木栽培の現状


たくさんのほだ木で栽培される人工ほだ場
 原木栽培では、良質のきのこを作ることが出来ますが、栽培者の高齢化に 伴い、原木が重いことや栽培がその年の気候に大きく左右されること等が、 問題となり生産量が減ってきています。そのかわりに、若い経営者などの間 では、人工的なほだ場を作り、散水や休養期間(きのこにも休養が必要とさ れる)などをコントロールする栽培方法をとっているところが増えています。



菌床栽培

 菌床栽培とは、おが粉(木粉、のこくず)に栄養剤(米ぬかやふすま)を加え、
水で含水率を調整した人工的な培地を使って栽培を行う方法です。スーパーなどの
店頭で売られているヒラタケ(しめじ)やエノキタケといったきのこは、ほとんど
この菌床栽培により栽培されたものです。最近では、シイタケも菌床ものが増えて
きています。

滅菌→培養→発生



ブロック状の菌床からシイタケが発生
シイタケの菌床

 この栽培方法では、重い原木を扱う必要がないので、比較的楽に作業が出来ます。また、室内で栽培するので、気候の影響を受けないことも特徴の一つです。


ブナシメジはビンで栽培する
ブナシメジの菌床栽培

 ブナシメジやヒラタケ、エノキタケなどは、シイタケと異なり瓶栽培が主流です。瓶栽培の方がオートメーション化が進んでいて、より集約的な栽培が行われています。
(福岡県大木町 きのこの里にて撮影)


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