テリトリーのチョウ目幼虫量が
シジュウカラの繁殖特性に与える影響


 チョウ目幼虫供給量がシジュウカラの繁殖特性に与える影響を調査した。調査地では,シジュウカラの餌の90%以上が樹上のチョウ目幼虫であったため,haあたり20個のフッラストラップを設置してシジュウカラにとっての食物利用可能量を推定した。この方法によるサンプリングの誤差は平均約10%で,テリトリー間の違いを調べるのに十分な精度であった。
 それぞれのテリトリーの食物利用可能量は産卵のタイミングに影響したが,クラッチサイズとの間にはっきりした関係は見いだせなかった。また,巣立ち時の雛の質と食物利用可能量の間にも関係がなかったが,これは,テリトリーを拡大するなどのおや鳥の給餌努力によって,ローカルな食物量の差が打ち消されたためと考えられる。食物利用可能量と孵化から巣立ちまでの期間の間には有意な負の相関があった。親鳥は,捕食される危険・巣立ち後に必要とされる親による世話の期間・世話の強度,の3つの要素が釣り合う点で巣立ちのタイミングを決定していると考えられた。巣立ち直後の食物利用可能量は巣立ち後の給餌期間と有意な負の相関があった。条件の悪いテリトリーで巣立った雛は条件の良いテリトリーのものに比べて自分で餌を探すのが難しいため,長期間親による給餌を受けると考えられる。

*Shin-Ichi Seki, Hajime Takano:
   Caterpillar abundance in the territory affects the breeding performance of great tit Parus major minor
   Oecologia 114 (1998) 4, 514-521
   Abstract:
http://link.springer.de/link/service/journals/00442/bibs/8114004/81140514.htm