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森林総合研究所九州支所 平成22年版「年報」

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九州支所における平成21 年度の研究推進の概要

支所長 中 村 松 三

 農林水産大臣が示す中期目標に従い中期計画を策定し、その推進に努めている。「森林・林業・木材産業における課題の解決と新たな展開に向けた開発研究」と「森林生物の機能と森林生態系の動態の解明に向けた基礎研究」の二大区分の下、前者に三つの重点分野「地球温暖化対策向けた研究」、「森林と木材による安全・安心・快適な生活環境の創出に向けた研究」、「社会情勢変化に対応した新たな林業・木材利用に関する研究」が、後者に二つの重点分野「新素材開発に向けた森林生物資源の機能解明」、「森林生態系の構造と機能の解明」が設定されている。これらの5 重点分野の下に総計12 の重点課題が設定されており、毎年度、それぞれの重点課題毎に年度計画を策定し、研究の推進を行い、独法評価委員会の評価を受けて業務を遂行している。

 平成21 年度は第2 期中期計画の4 年目にあたる。支所の研究職員数は28 名(平成21 年4 月1 日現在)で、上記重点課題下の様々な研究課題に参画し、研究業務を遂行した。得られた成果は関連する国内外の学会や研究集会等において195 件発表した。また、国・地方公共団体や関連団体が主催する各種委員会等への委員等の派遣(87 件)や国・地方公共団体や大学等からの受託研修生(30 名)の受入指導に取り組み地域社会等への貢献に積極的に努めた。さらに、一般市民を対象とした立田山森のセミナーや九州・沖縄農業研究センターとの共催による一般公開、年4 回発行の支所広報紙「九州の森と林業」、「スギ人工林をめぐる最近の研究から」のタイトルで実施した九州地域研究発表会などを通じて研究成果の社会還元・普及に努めた。

 一方で、研究プロジェクト公募の機会を積極的に捉え競争的外部研究資金の獲得に努めた。その結果、農林水産技術会議の平成21 年度新たな農林水産政策を推進する実用技術開発事業に応募した「スギ再造林の低コスト化を目的とした育林コスト予測手法及び適地診断システムの開発」が採択された。九州地域林業の持続性を脅かす再造林放棄問題に対処する4 年間のプロジェクトで、九州支所を中心に九州大学や宮崎大学等と開始した。また、九州支所及び熊本県林業研究指導所、九州大学を主体とする研究勢力で野生動物研究領域から応募した「深刻な森林被害をもたらすニホンジカの個体数管理計画の策定」が平成22 年度交付金プロジェクトとして採択された。他方、平成17 年度からの環境省地球環境保全等試験研究費によるプロジェクト「沖縄ヤンバルの森林の生物多様性に及ぼす人為の影響の評価とその緩和手法の開発」が終了した。

 新たなプロジェクトの紹介や研究成果の普及を行うため、プロジェクトの開始や終了に合わせいくつかのシンポジウム等を開催した。既述した農林水産技術会議実用技術開発事業プロジェクトの開始にあたり「低コスト化をめざす林業の過去・現在・未来」を熊本市で、環境省地球環境保全等試験研究費によるプロジェクトの終了にあたり「やんばるの森の保全と利用を考える」を沖縄県国頭村でそれぞれ開催した。地域連携では、九州地区林業試験研究機関連絡協議会を通じて公立試験研究機関との密接な連携・協力を進めたほか、九州森林管理局及び林木育種センター九州育種場とは技術開発に関する九州森林技術開発協議会等の会合をもち、連携・協力を深めた。

 九州支所では今後も森林・林業に関する様々な地域問題の解決に向け努力していく所存であり、関係各機関の皆様のさらなるご支援とご協力をお願い申し上げる。
 
試験研究の概要
[森林生態系研究グループ]
強度間伐後の林床における開空度変化 ・・・野宮治人
沖縄本島北部における各種林分の土壌水分状態の観測結果 ・・・釣田竜也
大面積皆伐地の土壌に植栽したシイ・カシ実生の外生菌根菌の接種効果 ・・・香山雅純
・阿蘇地方の固有絶滅危惧植物ハナシノブの繁殖と訪花昆虫 ・・・安部哲人
[山地防災研究グループ]
人工砂丘が発揮する防風範囲の推定 −風向の違いを考慮した模型風洞実験の結果から− ・・・萩野裕章
[森林微生物管理研究グループ]
立田山で発生したヒラタケ白こぶ病 ・・・小坂 肇
ナラ枯れの被害記録を探る─明治初期の記録 ・・・高畑義啓
シイタケ子実体形成関連遺伝子のマッピング(第2報)−新たにマッピングした8遺伝子の結果を加えて− ・・・宮崎和弘
佐賀県内のシイタケ菌床栽培施設で発生した害菌調査の事例報告・・・宮崎和弘
[森林動物研究グループ]
霧島山地えびの高原周辺におけるニホンジカによるアカマツへの剥皮 ・・・矢部恒晶
九州・沖縄地方において絶滅のおそれのある哺乳類 ・・・安田雅俊
外来種セイヨウミツバチによるノグチゲラの古巣利用 ・・・小高信彦
[森林資源管理研究グループ]
尾鈴収穫試験地における林分構造の変化 ・・・近藤洋史
団地化・施業集約化の課題をいかに解決しているか−熊本県下の森林組合から− ・・・山田茂樹
MODIS データを用いた森林分布図の作成 ・・・齋藤英樹
環境省プロジェクト
・「沖縄ヤンバルの森林の生物多様性に及ぼす人為の影響とその緩和手法の開発」の概要・・・佐藤大樹

試験研究の成果
平成21年度の発表業績
編 集:独立行政法人 森林総合研究所九州支所
〒860−0862 熊本市黒髪4丁目11番16号
TEL:(096)343-3169 FAX:(096)344-5054