>>  Home  >>  九州の森と林業 >>第82号 平成19年12月1日発行
森林総合研究所九州支所 定期刊行物 九州の森と林業

害虫シリーズ(21)

キョウチクトウスズメ

 インド原産で、緑化木としてよく植栽されているキョウチクトウ(Nerium indicum)には害虫らしいものはほとんど発生しません。しかし、例外的にこのキョウチクトウスズメ(Daphnis nerii,スズメガ科)は時に大発生をしてキョウチクトウの葉を食い荒らし、多くの人を驚かせます。幼虫が巨大であり、さらに大きな目玉模様があることからも初めて見る人はギョッとする事が多いようです。アフリカからインドを経て東南アジアに分布し、アフリカから年々ヨーロッパに渡りをすることが知られており、英語ではOleander Hawkmoth(キョウチクトウのタカ蛾)と呼ばれています。1960 − 70 年代は沖縄、奄美地方で偶産的な個体が採集される程度で、散発的な発生が見られるにすぎませんでしたが、1980 年に鹿児島で、1998 年には福岡で大発生が認められ、小笠原からの採集記録も有ります。写真はキョウチクトウの葉と終齢幼虫で(写真− 1)、2007 年10 月中旬に森林総合研究所九州支所構内で発生したものです。幼虫はきれいな黄緑色ですが(写真− 2、3)、蛹化が近づくと体色は背面が黒くそれ以外は黄色みを帯びます(写真− 4)。地中で蛹化しますが、冬季の低温で蛹は死滅し越冬はできないと考えられています。しかし、現在では、大阪府でも発生が知られていることから、発生域の拡大について注意をする必要があります。キョウチクトウ以外の食草としてはマダガスカル原産のニチニチソウ(Catharanthus roseus)が知られています。

写真− 1 キョウチクトウの葉を食べる終齢幼虫 写真− 2 胸に目玉模様がある。本当の眼は左端
写真− 3 蛹化の近い終齢幼虫 写真− 4 キョウチクトウスズメの蛹

チーム長(南西諸島保全担当)  佐藤 大樹 


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