>>  Home  >>  九州の森と林業 >> 第73号 平成17年9月1日発行
森林総合研究所九州支所 定期刊行物 九州の森と林業

きのこシリーズ(20)

アミヒカリタケ

写真 アミヒカリタケ
(2002年2月、ボルネオ島東部ブキット・バンキライで撮影)

 きのこの中には、暗闇で妖しく光るものがあります。ブナの枯れ木によく生えるツキヨタケが有名ですがその他にもいくつかあり、本種アミヒカリタケ Filoboletus manipularis(Berk.)Sing. もその一つです。カサの直径が2〜3cm程度の弱々しい感じのきのこで、広葉樹の枯れ木に生えます。遠目にはただの地味な白っぽいきのこですが、よく見るとカサの裏がヒダではなく、網目状(管孔)になっているのが特徴です。夏のきのこで、分布自体も日本南部に偏っています。このきのこの光はあまり強くはありませんが、採集したものを押し入れなどに持ち込むとカサの裏や柄の部分がかすかに光っているのを見ることができます。昼間にはきのこの光は分かりませんが、カサの裏が管孔になっているという分かりやすい特徴があるので、見かけたら持ち帰って観察してみるとおもしろいでしょう。

 このきのこは本州和歌山以南など日本では南の方にしかありませんが、もっと南の方にも分布しています。写真は森林火災プロジェクトで調査に訪れたインドネシアのボルネオ島で撮影したものです。一帯は気候こそ九州支所のある熊本の夏よりだいぶ過ごしやすいものの、とげだらけのラタンのつるや恐ろしく攻撃的なアリに悩まされながらの調査でした。そんな中で日本と共通のきのこにふと出会うと、まるで古い友人に再会したような気持ちになったものです。

 きのこの発光性については、昔からその機能についていろいろ議論されてきました。例えば虫を呼んで胞子を運ばせる、などです。しかし、きのこにならない菌糸が光るものや、超高感度光センサーでやっと感知できる程度の光しか発しないものもあり、これという結論は出ていません。案外、きのこはただそうあるようにあるだけで、何となく無意味に光っていたりするのかも知れません。

森林微生物管理研究グループ  明間 民央 


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