>>  Home  >>  九州の森と林業 >> 第49号 平成11年9月1日発行
森林総合研究所九州支所 定期刊行物 九州の森と林業

きのこシリーズ(14)

ケガワタケ

  きのこの名前に詳しい人でも,首をかしげることの多いのがケガワタケです。  広葉樹の枯木に発生する白色腐朽菌で,いかにもありふれた普通種に見えますが, 本州以北ではあまり見つからないからです。シイタケより少し小さい多数のきのこが,材から群がって発生します。傘の表面は淡黄色の地に濃褐色の鱗片で被 われており,動物の毛皮を連想させます。この特徴から毛皮茸の名前がつきまし た。肉は薄いのですが,革質のため,引きちぎるのには力がいります。

 これまでケガワタケは,欧米に分布するLentinus tigrinus (Bull.:Fr.) Fr.とされてきましたが,西アフリカから東南アジアに分布する熱帯性のきのこの Lentinus squarrosulus Mont.であることが判明しました。日本は分布の北限に あたります。国内では,1913年に東京目黒のカシの朽木に生えていたのが報告さ れたのが初めての記録でした。九州以外では,高知県,鳥取県でも見つかってい ます。日本ではこれまで利用例はありません。

 しかしナイジェリアでは食用にしています。成熟すると硬くなるので,柔らかい若い時に収穫し,肉や野菜と一緒に炒めて食べます。味はヒラタケに似て,ナイジェリアでは最も好まれているきのこの一つです。似ている毒きのこが無いこ ともあり,多くのナイジェリア人になじみのあるきのことなっています。近年は栽培の試みもされていますが,まだ成功はしていません。さて日本人の口には合うのでしょうか。

特用林産研究室 根田 仁


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